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執筆者の写真黒坂 志穂

ホネ知識②:骨の分類法

更新日:7月18日

SMILEエクササイズは、ただ骨を鍛えるのではなく、それぞれの骨が持つ機能を重視しています。


私たちの体には約200個の骨がありますが、1つ1つをはじめから分割して考えると大変なので、骨文法(勇崎、2019)の考え方をベースに、全身の骨を機能別に3種類に分類して骨の強化を考えています。


今回は、簡単で新しい骨の機能を中心とした分類法をご紹介します。


目次



1. 動きを生み出す:手と足の骨


手と足の骨は、細かな動きや全身の移動を可能にする重要な役割を果たします。



手の骨

人間の手は、わずか27個の骨で構成されています。この数字だけを見ると少ないように感じるかもしれませんが、全身の骨がおよそ200個であることを考えると、両手はその小さな面積の中に、4分の1以上もの骨が集中していることになります。


これが意味するところは何でしょうか?


もし手の骨が10個程度しかなかったら、私たちはこれほど器用に手を使うことができなかったでしょう。絵を描いたり、楽器を演奏したり、繊細な料理技術を駆使したりするような精密な動きは、手の骨がこれほど多くの部品で構成されているからこそ可能なのです。


したがって、手の動きを向上させ、鍛えるということは、すなわち骨と、その周辺組織の協調性を高めることに他なりません。この複雑な構造を理解し、適切に使用することで、私たちはより巧みな手の動きを獲得し、さらなる可能性を開くことができるのです。

骨粗鬆症予防に役立つ手の骨構造
手の骨: 27個の骨で構成され、精密な動きを可能にする・道具の使用や表現など、人間特有の能力の基礎となる

足の骨


足は26個の骨で構成されており、これは手の27個とほぼ同数です。形は異なりますが、手と足はほぼ同じ構成となっています。全身の体表面積から見れば、手と足は小さな面積にすぎませんが、両者を合わせると全身の骨の約半数を占めています。この事実だけでも、手と足の重要性が窺えます。


手と足の構造は似ていますが、足の骨が担う決定的に異なる機能は「重い体重を支える」ことです。体重を支えながら多彩に動くという、小さな面積の足にとっては奇跡的とも言える仕事を可能にしているのが、足の特殊な機能です。


骨粗鬆症予防に役立つ足の骨構造
足の骨:26個の骨で構成され、体重を支え、歩行を可能にする・アーチ構造、てこ機能により、衝撃吸収と推進力生成の機能を持つ

2.背骨を支える大きな骨:腰と肩甲骨


腰(骨盤)


私たちの体の中心に位置し、全身を支える重要な役割を果たす腰の骨、すなわち骨盤。一見、単一の大きな骨のように見えますが、実は5つの骨が巧妙に組み合わさった複雑な構造体です。


骨盤を構成する5つの骨:

1. 仙骨

2. 尾骨

3. 腸骨

4. 恥骨

5. 坐骨


腰は、背骨を支える大きな骨に分類されており、身体の要と呼ばれるほどに重要な機能を担っています(勇崎、2019)。その主な役割は、重さを「支える」機能です。


興味深いことに、一般的な骨のトレーニング法では、腰に特化した鍛え方はあまり見られません。しかし、腰の骨の重要性を考えると、もっと注目されるべき部位と言えるでしょう。


実は、腰の骨は、その大きな体積の中で、厚みや骨密度が部位によって大きく異なります。つまり、骨盤の各部分が異なる役割を担っており、それぞれに適した強化が必要なのです。


腰痛の改善には、支える機能を持つ腰の骨を効率よく強化することによって、腰の負担がかなり軽減されます。


腰の骨の重要性を理解し、その機能を最大限に引き出すことで、身体全体のバランスと健康を向上させることができます。今日から、あなたの腰の骨にも注目してみてはいかがでしょうか。

骨粗鬆症予防に役立つ腰(骨盤)の骨構造
腰(骨盤):体の重心を支え、安定性を提供・内臓を保護し、下半身の動きの基礎となる



肩甲骨


私たちの上半身の動きを可能にし、背骨を支える重要な役割を果たす肩甲骨。この一見シンプルな骨が、実は全身の健康と密接に関わっています。


興味深いことに、一般的な骨のトレーニング法では、肩甲骨に特化した動かし方はあまり見られません。しかし、その重要性を考えると、もっと注目されるべき部位と言えるでしょう。


「肩甲骨はがし」という言葉が広まっているように、肩甲骨の動きが悪くなると、肩こりの主要因になったり、全身の代謝が著しく衰えたりします。


しかし、肩甲骨をゴリゴリとマッサージして「はがす」だけでは、本質的な改善にはつながりません。 なぜなら、私たちの身体は常に協働して動いているからです。


肩甲骨だけを単独で動かすのではなく、肩甲骨につながる骨を含めた全体的な動きの改善が重要なのです。骨が適切に動くことで、初めて周囲の組織もリラックスし、本来の機能を取り戻すことができます。


特に注目すべきは、上腕骨を介してつながる「肘」の動きです。肘の動きを改善することで、肩甲骨の動きもスムーズになり、結果として肩こりの根本的な解消にもつながります。


連動を意識しながら、肩の骨を上手に強化して、痛みのない柔軟な肩を手に入れましょう。

骨粗鬆症予防に役立つ肩の骨構造
肩甲骨:上肢の動きを支え、胸郭の動きと連動・首や背中の筋肉とつながり、上半身の姿勢に影響

これらの大きな骨は、荷重して「負荷」を加えるアプローチを行うことで、腰や肩の支持機能を増加し、全身の安定性を向上させます。


3. 動きの統合:背骨の重要性


背骨(脊椎):生命活動の要となる驚異の構造


背骨は、全身の動きを統合する中心的な役割を果たす、人体にとって極めて重要な骨格構造です。その構成は以下の通りです:


- 頸椎(けいつい):7本の骨で構成される首の部分

- 胸椎(きょうつい):12本の椎骨で構成される胸の部分

- 腰椎(ようつい):5本の椎骨で構成される腰の部分


背骨には全身の動きを統合する役割があり、その動きは私たちの健康に直結します。しかし、現代社会では背骨を動かす機会が激減しており、その結果として姿勢の悪化や代謝の低下といった問題が生じています。


自然界に目を向けると、背骨の動きの重要性が明確に見えてきます。例えば、海を泳ぐ魚は、わずかな酸素量しか取り込めない環境にいながら、背骨を絶えず動かすことで酸素を全身に効率よく循環させています。同様に、陸上の動物も移動する際には必ず大きく背骨を動かし、全身の機能を活性化させています。


対照的に、現代人は長時間の座位姿勢を強いられ、移動時でさえ背骨を大きく動かすことは稀です。このため、私たちは背骨を動かす習慣を失った唯一の生物となってしまいました。


背骨の動きを取り戻すことは、単に姿勢を改善するだけにとどまりません。それは全身の代謝を活性化し、総合的な健康の向上に直結する重要な課題なのです。


さらに重要なのは、これまで説明してきた手足の骨と背骨との連携です。手足の骨を、背骨を支える大きな骨(肩甲骨や骨盤)を介して背骨につなげるように動かすことができれば、身体全体の機能は飛躍的に向上し、日々の生活がより快適になります。


この全身の骨の協調的な動きを意識することで、私たちは本来の身体の可能性を最大限に引き出すことができるのです。


骨粗鬆症予防に役立つ背骨の骨構造
背骨(脊椎):24個の椎骨で構成され、体の中心軸となる・脊髄を保護し、神経系の重要な経路となる・ 全身の動きのバランスと協調を司る

4. まとめ


SMILEエクササイズは、骨を中心とした革新的な健康アプローチです。


1. 部位別アプローチ:

各部位の骨の特性と機能を深く理解し、それぞれの潜在能力を最大限に引き出します。


2. 骨格全体の統合:

個々の骨の強化にとどまらず、関節を介してつながる「骨格」全体としての機能向上を目指します。


3. 動的な視点:

身体が動くことを想定し、静的な強化だけでなく、動的な視点を取り入れて骨格を調整します。


4. 科学的根拠:

最新の骨科学の知見に基づいた、効果的なエクササイズを提供し、研究ベースでその効果検証も行っています。


これまでの筋肉中心のトレーニングとは異なり、SMILEエクササイズは骨を起点とした全身の健康改善を目指します。その結果、姿勢の改善、代謝の向上、そして全身の協調性の増進が期待できます。


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