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高齢女性の骨・姿勢・歩行を支える椅子体操|研究結果を解説

2024年7月18日
読了時間: 5分

更新日:10月8日

椅子でできる骨の体操を、高齢女性50名で検証した研究です。体操群25名と対照群25名に分けて比べました。


体操群は週1回40分・3か月実施しました。姿勢・歩行・骨の超音波指標の変化量に、対照群との差がみられました。


目次


椅子から立ち上がる女性と下肢骨格を示すやわらかい運動イラスト
椅子を使い、足・股関節・骨盤の動きと支え方に目を向ける運動イメージ。

1. はじめに:高齢者の骨と姿勢の課題


OSTEO®では、骨の健康を、骨格がどこで身体を支え、どの関節が動くかという視点から考えます。


前かがみが気になるときも、見た目の角度だけでなく、足・股関節・骨盤・背骨の動きと支え方に目を向けます。


外側から強く固めることよりも、余分な力みを減らし、骨・関節が連動して動ける状態を大切にします。


それよりも、骨組みを整えて、どんなに脱力しているときでも美しいスタイルでいられたら、その方がいいですよね。


ここでご紹介するのは、OSTEO®が行っているものと同様の骨へのアプローチを行った研究です。


その結果、姿勢がどれだけ改善したかを調べています。


2. 新しい運動プログラムの概要


支持物に手を添え、前足部を床に残して片膝を曲げ、かかとを上げる女性。反対のかかとは床についている。
OSTEO®の運動イメージ。前足部で支え、片膝を曲げて無理なくかかとを上げます。反対のかかとは床に残し、左右を交替します。

この研究で紹介される運動プログラムは、椅子に座ったまま実施できる高齢者向けの新しい運動方法です。


ひろしまGENKI体操という、生協ひろしまと広島大学が共同研究している枠組みの中で実施されました。


実施頻度は、週1回、3ヶ月間のプログラムで、OSTEO®と同じく全身の骨に機械的負荷と振動を与えることを目的としています。


3. 研究方法:科学的検証のアプローチ


- 対象:日本人高齢女性50名(平均年齢73.9±8.4歳)

- 方法:体操群25名と対照群25名にランダムに分け、体操群は指導者のもとで週1回40分、3ヶ月間の体操を実施

- 測定項目:姿勢(24の主要関節の傾斜角度)

      歩行能力(歩行速度、歩幅、2ステップテスト)

     骨強度(超音波パラメータSOS)


4. 驚きの研究結果


運動と食事で骨の健康を支える女性の白・金基調イラスト
骨の健康は、運動だけでなく栄養・生活習慣・検査を組み合わせて守ります。

研究結果は、この新しい運動プログラムが姿勢を美しくし、歩行機能も改善するという多面的な効果をもたらすことを示しました:


1)姿勢の改善

姿勢分析器で24の主要関節の角度を測定し、体操群と対照群の変化量を比較しました。


ここでは、上半身・頭部・膝・骨盤の結果を紹介します。


①上半身の前後傾斜角度:

上半身の前後傾斜角度の変化量は、体操群と対照群で有意に異なりました(p<.05)。


原ポスターでは姿勢の改善として報告されていますが、角度の基準は詳しく示されていません。


②頭部と骨盤の前後傾斜角度:

頭部と骨盤の前後傾斜角度でも、体操群と対照群の変化量に有意な差がみられました。


上半身だけでなく、姿勢を支える複数の部位を評価した点が、この研究の特徴です。


③膝の屈曲角度:

膝の屈曲角度の変化量にも、体操群と対照群で有意な差がみられました(p<.01)。


ただし、骨への刺激が直接の原因だったかは、この研究だけでは確かめられません。


2)歩行能力の向上

歩行能力の向上は、高齢者の日常生活の質を大きく左右する重要な要素です。


本研究では、歩行速度、歩幅、そして2ステップテストという3つの指標を用いて歩行能力を評価しました。


歩行速度と歩幅は、体操群で増加する方向の変化を示しました。


対照群と比べた変化量の差は、歩行速度でp<.01、歩幅でp<.05でした。


歩く速さだけでなく、歩幅も合わせて評価している点が特徴です。


ただし、歩行の効率や転倒の減少を直接測った研究ではありません。


2ステップテストでも、体操群と対照群の変化量に有意な差が報告されました(p<.01)。


歩行速度・歩幅・2ステップテストを合わせて評価したことで、骨の指標だけでは分からない、動く力の変化も調べています。


3)骨の超音波指標の変化

骨の評価には、超音波の伝わる速さ(SOS)を用いました。


SOSの変化量は、体操群と対照群で有意に異なりました(p<.05)。骨に関する超音波指標にも変化がみられた結果です。


ただし、SOSはDXAで測る骨密度とは異なる指標です。この結果だけで、骨折予防まで確認できたわけではありません。


この研究では、姿勢、歩行能力、骨の超音波指標の変化を合わせて評価し、体操群と対照群の変化量に有意な差がみられました。


骨の指標だけでなく、姿勢を保つことや歩くことにも目を向けた運動を考えるうえで、参考になる研究です。


5. まとめ:高齢者の健康維持の新たな選択肢


椅子から始める運動で、姿勢・歩行・骨の指標を一緒に評価したことが、この研究の特徴です。


椅子に座って行えるように設計されたこのプログラムは、高齢者の運動を考えるうえで参考になります。


ただし、この学会ポスターだけで、あらゆる高齢者への安全性や長期的な効果まで確認できるわけではありません。


今後は、さらに長期的な効果の検証や、異なる年齢層、健康状態の高齢者での効果検証など、より広範な研究が期待されます。


この運動プログラムが、高齢者の健康寿命延伸と生活の質向上に貢献する新たな選択肢となることが期待されます。


研究情報:Ikeda R, Kurosaka S, Takaura M, Kadomasu H, Deguchi T, Ueda T, Yanaoka T.


The effect of the bone strengthen exercise on the bone strength and posture in older adults.


International Congress of Physical Anthropology 2023(学会ポスター表記)。


関連キーワード:

高齢者向け運動、骨強化、姿勢改善、歩行能力向上、骨密度向上、要介護予防、座位運動、BONEプログラム、ひろしまGENKI体操


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骨・姿勢・動きの考え方を、動画を見ながら実践できます。


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執筆者


黒坂 志穂(くろさか しほ)


広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。

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