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骨ホルモンとは?骨が全身の健康に関わる仕組み

2024年7月6日
読了時間: 5分

更新日:10月8日

骨ホルモンとは、骨の細胞がつくり、血液を通じてほかの臓器へ信号を送る物質のことです。


代表例には、体内のリンの調節に関わるFGF23と、骨の外での働きも研究されているオステオカルシンがあります。[1・2・3]


骨は、身体を支える形をつくるとともに、ほかの臓器と連絡を取り合う生きた組織です。


ホルモンには、ヒトで確かめられた働きと、動物実験を中心に検討されている働きがあります。分けて見てみましょう。


FGF23:骨から腎臓へ、リンを調節する信号を送る


骨の材料というとカルシウムがよく知られていますが、リンも大切な材料です。


そのリンを体内にどのくらい保ち、どのくらい尿へ出すかの調節に、骨からつくられるFGF23が関わっています。[2]


FGF23は腎臓に働きかけ、リンを再吸収する働きを抑え、尿へ出やすくします。


また、活性型ビタミンDの産生を抑える働きもあります。骨はミネラルを蓄えるだけでなく、その調節にも参加しています。[2・1]


骨の細胞から放出されたFGF23が血液を通じて腎臓に届き、リンと活性型ビタミンDの調節に関わる模式図
骨から腎臓へ届く信号を示す模式図

遺伝性のリン代謝の病気がある成人38人を対象に、FGF23の働きを抑える抗体を投与した試験があります。


抗体を投与した群では、プラセボ群に比べ、腎臓でリンを保つ働きが高まり、血液中のリンと活性型ビタミンDが上昇しました。


骨からの信号が、腎臓での調節に関わることを示すヒトの研究です。[1・2]


FGF23が過剰に働く病気では、リンが尿へ失われ、骨の石灰化にも問題が生じます。


骨から出るホルモンも、必要な範囲に調節されることが大切です。「たくさん出せば骨が強くなる」と考えるものではありません。[1・2]


オステオカルシン:骨と筋・脳のつながりを調べる研究


オステオカルシンは、骨をつくる骨芽細胞がつくるたんぱく質で、骨の基質に含まれ、血液中でも測定されます。


骨づくりの指標として調べられる一方、骨からほかの臓器へ働きかける可能性にも注目されています。[3・4]


マウスの研究では、オステオカルシンが運動時の筋肉のエネルギー利用に関わることなどが報告されています。


骨と筋肉が、力のやりとりだけでなく、物質を介して関わる可能性を示した研究です。[3]


ヒトでも研究されています。高齢者225人を含む横断研究では、年齢などを考慮した解析が行われました。


高齢女性のオステオカルシン値と、実行機能・総合的な認知得点との関連が報告されました。


ただし、オステオカルシンを増やして認知機能が改善したことを調べた試験ではありません。[4]


別の方法でオステオカルシンを欠くマウスをつくった研究では、血糖などに予想された異常が見られませんでした。


骨と全身のつながりは興味深い研究分野ですが、個々の働きには研究間で一致していない点もあります。[5]


骨を動かすことと、骨ホルモンはどうつながる?


身体を動かすと、床から受ける力や筋肉が引く力が、骨と関節を通って伝わります。


骨の中の骨細胞は、こうした力学的な変化を受け取る役割を担います。骨を、力を受け止めて応答する組織として見ます。[7]


マウスの骨に局所的な荷重を加えた実験では、骨細胞のスクレロスチンという合図の変化が、骨形成の反応に関わりました。


これは骨の内部で刺激を伝える仕組みの研究で、血液中の骨ホルモンが増えたという説明とは区別します。[7]


運動とオステオカルシンの関係は、対象者、運動の種類や期間、測った物質の形によって結果が異なります。


骨が刺激に反応することと、特定の運動で特定のホルモンが増えることは、段階を分けて確かめる必要があります。


さらに、そのホルモンの変化が、全身の機能の改善につながるのかを確かめる必要があります。[3・6]


OSTEO®では、骨・関節をやさしく動かし、日常の動きにつなげることを重視しています。


今ある研究で確認した骨や足部の変化と、ホルモンを介した仕組みの解明は、分けて考えます。


現時点で、OSTEO®の効果が特定の骨ホルモンによって生じたと確認したわけではありません。


日常では、どの骨で支え、どの関節で動くかを見る


OSTEO®の実践で、まず確かめたいのは力の通り道です。たとえば、かかとを上げるとき、足指の付け根で床を支えられているか。


膝の動きと足の骨の動きがつながり、反対のかかとは床に残っているか。高さや回数だけでなく、身体を支える場所に目を向けます。


足指の付け根を支点として踵を持ち上げる、足の骨のてこ機能を示す図
足のどこで床を支え、どう力が伝わるかを考える概念図です。骨ホルモンの増加を示した図ではありません。

支える場所と左右の動きは、骨のてこを使う交互のかかと上げで詳しく紹介しています。


骨盤や背骨も同じです。座る・立つ・歩くときに、足、股関節、骨盤、背骨がどう動きを受け渡すかを確かめます。


一つの場所を強く固め続けず、自分の骨の状態や痛みの有無に合わせて、負荷を選びましょう。


骨ホルモンを知ると、骨が身体の内側で働き続けていることが見えてきます。


日々の実践では、その骨が必要な力を受け、関節を介して動けるようにする。食事や睡眠も含め、骨を支える習慣を重ねましょう。


骨がつくられ直す仕組みは、骨のリモデリングの記事で紹介しています。


参考文献


Riminucci M et al. J Clin Invest. 2003;112:683–692.


Carpenter TO et al. J Clin Invest. 2014;124:1587–1597.


Mera P et al. Cell Metab. 2016;23:1078–1092.


Bradburn S et al. Age Ageing. 2016;45:844–849.


Diegel CR et al. PLoS Genet. 2020;16:e1008361.


Colleluori G et al. Oxid Med Cell Longev. 2017;2017:4807046.


Tu X et al. Bone. 2012;50:209–217.


骨や関節を意識した動きを、動画で実践しながら学べます。



骨の仕組みと実践を、さらに学びたい方へ。OSTEO®では、骨の健康を専門的に学べる資格をご案内しています。


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執筆者


黒坂 志穂(くろさか しほ)


広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。

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