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足の骨は歩き方にどう関わる?若年女性の足底圧を調べたOSTEO®研究

2024年7月6日
読了時間: 5分

更新日:10月8日

歩くときは、踵で体重を受け止め、足の前側へ荷重を渡し、足を床から離していきます。


OSTEO®では、この一歩の中で働く足のアーチと前足部の「てこ機能」に着目しています。


大学年代の女性40名の研究では、足の骨に負荷をかける運動を4か月続けた群で、足底圧分布と踵骨の超音波指標が改善しました。[1]


足裏のどこで、どのタイミングで体重を支えているか。歩行中の足の使い方を考える手がかりになる研究です。


足のアーチと前足部は、歩行でどう働く?


足には多くの骨があり、関節でつながってアーチをつくっています。荷重を受け止めながら、次の動きへつなげる構造です。


アーチは、体重を支えるとともに、着地の衝撃を受け止める働きに関わります。前足部は、踵が床から離れるときの支点になります。


足指だけを強く握ることと、前足部で床を支えることは違います。骨の配置と、力を受ける場所に目を向けましょう。


足を横から見て、踵から前足部へ続くアーチを示した骨格図
足のアーチを横から見た概念図です。研究前後の形の変化を示すものではありません。

OSTEO®では、アーチと前足部に、方向を意識して負荷をかけます。2019年の研究は、この考え方をもとにした運動を検討しました。[1]


4か月の研究では、何を調べた?


対象は、定期的な運動習慣のない大学年代の女性40名です。無作為に、運動群20名と対照群20名に分けました。[1]


平均年齢は運動群20.6歳、対照群19.8歳。骨粗鬆症や歩行の問題がある人を対象にした研究ではありません。[1]


運動群は、週1回60分、4か月間のプログラムを行いました。床と椅子に座る動きを組み合わせた、全12動作です。[1]


例えば、踵と前足部を持ち、踵を内側へ、前足部を外側へねじる。足趾を一本ずつ持って揺らす、といった動きが含まれます。[1]


負荷は、痛みのない範囲で個別に調整しました。研究結果は、一つの動作だけでなく、プログラム全体について得られたものです。[1]


介入前後に測定したのは、踵骨の定量的超音波法(QUS)による指標と、歩いているときの足底圧分布です。[1]


足底圧は、圧力を測るマットで調べました。内側の前足部、外側の前足部、踵側の3領域に分けて評価しています。[1]


結果①:前足部の使い方が、足底圧に表れた


この研究では、接地のタイミング、接地している時間、圧が最大になるタイミング、圧の大きさの4指標を測定しました。


表3が示すのは、各指標の基準値からのずれです。値が小さいほど基準に近く、「圧が低いほど良い」という意味ではありません。[1]


運動群内の前後比較では、内側の前足部の接地タイミングと接地時間に、有意な改善が見られました。[1・表3]


外側の前足部では4指標すべて、踵側では圧の指標が有意に改善しました。すべての領域・指標が同じように変化したわけではありません。


4か月後の対照群との比較では、内側の前足部の4指標と、外側の前足部の圧の指標で有意差がありました。[1・表3]


論文では、踵で受けた荷重を前足部へ移しながら歩く働きが、改善した可能性を考察しています。[1]


足の前側を使えるかどうかを、歩行中の測定から見た結果です。足底圧の変化を、足の骨と関節の働きに結び付けて考えています。


結果②:踵骨の超音波指標も上昇した


運動群の平均値は、超音波伝播速度(SOS)が1628から1660m/s、骨梁面積率(BAR)が33.2から36.5%へ上昇しました。


両指標とも運動群内の前後比較で有意に上昇しました。本文と表2で、4か月後の群間差が示されているのはSOSです。[1]


これらは、踵骨を超音波で評価した指標です。腰椎や大腿骨をDXAで測定した骨密度とは区別して読みます。


この研究から、骨粗鬆症が治った、骨折が減った、とまで言うことはできません。何を測った結果なのかを確認することが大切です。


骨の測定結果を詳しく知りたい方は、若年女性の骨密度とOSTEO®研究の記事もご覧ください。


アーチと「てこ機能」は、どう関係する?


踵を持ち上げるとき、足の前側には床を支える役割があります。前足部を支点にして踵が上がるのが、足の「てこ機能」です。


指の付け根で床を支え、そこを支点に踵が上がる。OSTEO®では、この動きと足の骨の配置、力を受ける方向を一緒に考えます。


前足部の指の付け根を支点に踵が上がる、足の骨のてこ機能を示す図
前足部で床を支え、踵を上げる「てこ機能」の概念図。この動作だけの研究結果を示すものではありません。

足底圧の改善には、アーチや前足部の働きの変化が関わった可能性があります。ただし、アーチの形や骨の構造は直接測っていません。


「アーチが修復された」「前足部の骨が強化されたため」と、変化の仕組みを確定することはできません。[1]


歩行速度も、この研究の評価項目には含まれていません。分かったのは、足底圧から見た足の使い方と、踵骨の超音波指標の変化です。


効果が長期に続くか、高齢者や骨粗鬆症のある方でも同様の結果が得られるかは、別に検証する必要があります。[1]


足の骨から、いつもの一歩を見直す


足の健康を考えるときは、歩く量に加えて、踵から前足部へ荷重を受け渡せているかにも目を向けてみましょう。


足のアーチと前足部を、形だけでなく、歩行中に働く構造として捉える。これが、OSTEO®の視点です。


研究では、骨粗鬆症や歩行の問題がない若い女性でも変化が見られました。若い時期から、足の骨と関節の働きを考える意味があります。


痛みや変形がある場合は、無理に蹴り出しを強めないでください。自分の状態に合った運動を、医療者や運動指導者に相談しましょう。


参考文献



J Phys Ther Sci. 2019;31(9):717–723. DOI: 10.1589/jpts.31.717


対象・方法は本文と表1、QUSは表2、足底圧は表3、研究の限界は考察を参照してください。


OSTEO®の動画配信では、骨・姿勢・動きの考え方を実践しながら学べます。動画で体験する。


執筆者


黒坂 志穂(くろさか しほ)


広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。

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