20代女性の骨密度は上げられる?足の骨に着目したOSTEO®研究
更新日:10月8日
「まだ20代なのに、骨のことを考える必要があるの?」
骨粗鬆症は高齢者の病気というイメージがありますが、骨の健康を考えるうえでは、むしろ若い時期が重要です。
骨量や骨の強さは若年期に高まり、その後は徐々に低下していきます。若いうちにどれだけ良い骨の状態をつくれるかは、その後の骨の健康にも関わります。添付論文でも、若年期に高いpeak bone massを獲得することの重要性が背景として示されています。 JPTS 2019
広島大学では、大学生年代の女性を対象に、足の骨と足部機能に着目したBONE(Building Osteo Neatly Exercise)プログラムの効果を検証しました。

定期的な運動習慣のない女子大学生
参加者は無作為に、
BONEプログラムを行う群:20名
通常どおり生活する対照群:20名
に分けられました。
運動群は、1回60分、週1回、4か月間BONEプログラムを実施しました。開始前と4か月後に、かかとの骨のQUS指標と歩行時の足底圧分布を測定しました。 JPTS 2019

なぜ「足の骨」に着目したのか
足には多くの小さな骨が集まっています。
論文では、下肢にある29個の骨のうち、27個が足関節以下に存在すると説明しています。
これらの骨は、小さな足部で全身を支えながら、
足のアーチをつくる
身体を支える
踵から前足部へ荷重を移す
歩くときに身体を前へ送り出す
といった重要な役割を担っています。 JPTS 2019
OSTEO®では、足を単なる「筋肉のトレーニング対象」としてではなく、多数の骨が連動して働く立体構造として捉えています。
BONEプログラムでは、足の骨を一つずつ刺激する
この研究で使用したBONEプログラムは、単純なかかと上げだけではありません。
12種類の運動で構成され、左右それぞれ2セットずつ、計4セット行いました。特に、足の機能で重要なアーチと前足部に重点を置いています。 JPTS 2019
内容は、例えば、
手で足のアーチを曲げる・反らす
小指側を支点にして踵を上げる
踵を支点に、母趾側・小趾側へ交互に荷重する
踵と前足部を持ってねじる
足全体を揺らす
足趾を一本ずつ持って揺らす
足裏を手で軽く叩く
脚を使ってアーチへ刺激を加える
といったものです。

すべて、痛みのない範囲で、個人に合わせて負荷を調整しました。 JPTS 2019
さらに、プログラム前半の1~4は床上で行い、5~12は椅子に座って実施しています。 JPTS 2019
この点は、現在のOSTEO®の「骨を部位ごとに丁寧に動かす」という考え方にもつながっています。
かかとの骨はどう評価したの?
骨の評価には、かかとの骨を測定する定量的超音波法(QUS)を使用しました。
測定したのは、以下の2つです。
SOS:Speed of Sound
BAR:Bone Area Ratio
SOSは音速の意味で、骨の材料(骨梁など)が多いほど、超音波の伝番速度が速くなります。また、BARは骨梁面積率の意味で、この面積が高いほど骨が強いことを意味する指標です。
4か月後、SOSは約2%上昇
結果は明確でした。
BONEプログラムを行った群では、SOSが
1,628.0 m/s → 1,660.0 m/s
へ上昇しました。
一方、対照群では
1,635.0 m/s → 1,627.0 m/s
で、変化率は**−0.5%**でした。
BARは約10%上昇
BARはさらに大きく変化しました。
運動群では、33.2% → 36.5%
となり、変化率は約10%でした。
対照群では、33.4% → 33.5%
で、ほとんど変化していません。
BARも運動群で有意に増加しました。 JPTS 2019
論文では、この約10%のBAR増加と約1.9%のSOS増加は、他の若年者を対象とした運動研究で報告された変化と比較しても同程度であったと考察しています。 JPTS 2019

骨だけでなく「歩き方」も変わった
この研究のおもしろい点は、かかとのQUSだけでなく、歩行中に足裏をどのように使っているかまで調べていることです。
足圧は、
後足部
内側前足部
外側前足部
の3領域に分けて評価しました。さらに、以下も測定しています。
接地するタイミング
接地している時間
最大圧が出るタイミング
足底圧

若い女性でも「踵に頼った歩き方」がみられた
論文では、理想的な歩行では、
踵で接地する→ 足底へ荷重が移る→ 最後に前足部を使って身体を前へ送り出す
という二峰性の足圧パターンになると説明しています。
一方、若い人でも、踵に荷重が残ったまま、前足部を十分に使えていないケースがあるとされています。 今回の参加者も、開始前には荷重が、踵に乗りすぎている傾向があったことが示されています。
OSTEO後は前足部を使える歩き方へ近づいた
4か月後、運動群では足底圧分布にも複数の有意な改善がみられました。
内側前足部:接地タイミング、接地時間が改善
外側前足部:4つすべての指標が改善
後足部:足底圧が改善
さらに4か月後には、内側前足部の4指標すべてと、外側前足部の足底圧で、対照群より運動群の方が理想値に近い結果を示しました。
つまり、単に「足裏の荷重バランスが良くなった」というより、
踵に残りすぎていた荷重が減り、踵から前足部へ荷重を移しながら歩くパターンへ近づいた
と説明した方が、この論文の結果を正確に伝えられます。
かかとの骨の指標と、踵への荷重には関連もあった
さらに興味深い結果があります。
後足部の足底圧と、かかとのQUS指標の変化には有意な負の相関がみられました。
SOS:r = −0.52
BAR:r = −0.51
いずれも p < 0.01 でした。
つまり、この研究では、踵への過剰な荷重が理想値に近づいた人ほど、SOSやBARの骨強度の改善率が大きい傾向がみられました。
OSTEO®が考える「若いうちから足の骨を動かす意味」
この研究では、激しいジャンプ運動を行ったわけではありません。
足のアーチや前足部、踵を一つずつ動かし、骨に荷重や振動を加える低強度の運動を週1回行いました。
それでも、4か月後にはかかとのQUS指標と足底圧分布の両方に変化が認められました。
OSTEO®が重視しているのは、とにかく強い運動をすることではなく、どういう骨構造をもとに、どんな運動機能を引き出すように、どのような刺激を入れるかという考え方です。
特に足部は、多くの小さな骨がアーチ構造をつくり、その上で全身を支えています。
だからこそ、若いうちから、
足の骨を動かす→ アーチや前足部を使う→ 踵から前足部へ荷重を移す→ 床からの刺激を足全体で受け取る
という身体の使い方をつくっておくことには意味があります。
20代だからこそ、骨を後回しにしない
骨は、症状が出てから初めて意識する人が多い組織です。
しかし、若年期は将来の骨の土台をつくる時期でもあります。
激しい運動を始めることだけが選択肢ではありません。
まずは自分の足の骨を意識し、足趾、アーチ、踵、前足部を丁寧に動かす。
OSTEO®では、こうした「小さな骨から一つずつ動かす」体操を動画でも紹介しています。
研究情報
Kurosaka S, Ueda T, Yamasaki Y, Tanigashira A, Deguchi T, Okihara K, Yuzaki Y. Effect of the “Building Osteo Neatly Exercise” program on quantitative ultrasound parameters and plantar pressure distribution for college-aged females. J Phys Ther Sci. 2019;31(9):717–723.
▶ 骨に有効な体操はこちら。
OSTEO®の動画配信では、骨・姿勢・動きの考え方を実践しながら学べます。
執筆者
黒坂 志穂(くろさか しほ)
広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。





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