更年期の関節痛はなぜ起こる?指の痛み・リウマチとの違いと対処法
更新日:10月9日
更年期に起こる関節痛と関節リウマチは、症状だけでは見分けられません。痛む場所、腫れ・熱感、朝のこわばりの長さを整理し、症状が続くときは整形外科やリウマチ科で相談しましょう。[4]
対処の第一歩は、どの骨と骨の間にある関節が痛むのかを確かめることです。原因に合った対応を取りながら、日常の動きを保つことを考えます。OSTEO®でも、余分な力みを減らし、骨と関節が動ける範囲を探すことを大切にしています。
更年期の関節痛とリウマチの違いは?
痛む場所|関節は、骨と骨をつなぎ、動きを可能にする部分です。人さし指から小指では、指先から第一関節、第二関節、手のひら側の付け根と位置が変わります。手首も含め、「指が痛い」の中身を分けて見ることが役立ちます。

指先に近い第一関節(DIP関節)が痛み、腫れや出っ張り、変形を伴うときは、ヘバーデン結節などが考えられます。これは手指の変形性関節症で、40歳代以降の女性に多くみられます。第二関節(PIP関節)に生じる似た変化は、ブシャール結節と呼ばれます。[3]
腫れ・熱感|関節リウマチでは腫れや熱感がみられますが、左右対称とは限らず、初期には腫れが目立たない場合もあります。第一関節が痛む、片手だけに出るといった理由だけで、リウマチではないと自己判断しないでください。[4]
朝のこわばり|起床後に指を動かしにくい時間が、どのくらい続くかを確かめます。長く続く、日々悪化する、腫れもあるときは、更年期のせいと決めつけず医師に伝えましょう。[4]
何科に相談する?受診の目安と伝えるメモ
相談先|関節の痛みや動かしにくさが中心なら、整形外科が相談先になります。手指や手首に炎症が疑われ、関節リウマチが心配な場合は、リウマチ科・膠原病内科などの専門診療につなげます。
ほてりや発汗、月経・睡眠の変化も重なっているときは、婦人科・女性ヘルスケア外来でも相談できます。
受診を優先したいサインは、腫れ・熱感、じっとしていても痛い、強い朝のこわばり、症状が続く・悪化することです。痛みを我慢して大きく動かさず、まず関節の状態を確かめましょう。[4]
受診時に伝えるメモとして、次の5つをまとめておくと、診察で症状を説明しやすくなります。
痛む関節:第一関節・第二関節・付け根・手首など
始まった時期:いつから、続いているか、悪化しているか
左右差と腫れ:右・左・両側、腫れや熱感の有無
朝のこわばり:起床後、動かしにくさが続く時間
困る生活動作:瓶のふたを開ける、握る、服のボタンを留めるなど
更年期には、なぜ関節痛やこわばりが増えるの?
エストロゲンは、骨や軟骨、腱などにも関わるホルモンです。閉経前後の変化が筋骨格系の症状に関与する可能性が考えられています。[1]
45〜55歳の女性438人を8年間追跡した研究では、更年期への移行は、気になる痛みや関節のこわばりと関連していました。BMIや気分なども関連しており、ホルモンの変化だけで痛みが決まるという結果ではありません。[2]
「更年期になって急に痛み始めた」という感覚は、体の変化を知る大切な手がかりです。痛む場所や始まった時期を、月経やほてり、眠りの変化と一緒に振り返ってみましょう。
HRTで関節痛は改善するの?
ホルモン補充療法(HRT)の研究では、関節痛に変化がみられた報告があります。WHIの原著は、子宮摘出後の閉経女性10,739人を対象とした、経口エストロゲン単独試験の事後解析です。[5]
1年後に関節痛があった人は、エストロゲン群76.3%、プラセボ群79.2%でした。痛みの差は小さく、腫れはエストロゲン群で多かったという結果もあります。[5]
2026年のレビューは57研究、約396万人を整理しています。HRT使用歴がある人とない人を比べた解析では、一般的な筋骨格痛に有意差はありませんでした。治療法や対象が異なり、変形性関節症や関節リウマチの結果も一致していません。[6]
HRTをどう考えるかは、関節痛に加え、ほてりなどの症状、年齢や既往歴も含めて婦人科で相談することになります。
骨と関節の動きを、どう保っていけばいいの?
まず、瓶のふたを開けるなど、困っている生活動作をひとつ思い浮かべます。第一関節、第二関節、付け根、手首のどこが痛み、朝と使用後でどう変わるかを確かめましょう。骨と骨をつなぐ関節ごとに見ると、保ちたい動きが具体的になります。
OSTEO®の運動設計では、余分な力みを減らし、骨と関節が動ける範囲を探しながら、小さく反復することを大切にしています。
骨と骨のつなぎ目に着目して、立つ、歩く、手を使うといった生活の動きにつなげる考え方です。関節の状態に合わせ、痛みを増やさない範囲で考えます。
手首には、片手に8個の手根骨があります。小さな骨が関節でつながり、手の動きを支えています。[7]
OSTEO®で紹介する骨ケアでは、反対の手の親指と人差し指の指股を、手の付け根の手根骨付近に添えます。「ぎゅっ、ぎゅっ」は強く締め付けず、軽い圧で包んではゆっくり緩める動き。骨へのやさしい負荷を意識します。
更年期のホルモン変化への対応や必要な治療と合わせ、自分でできる骨ケアとして考えます。治療の代わりにはしません。痛み・しびれ・腫れ・熱感があるときは行わず、医師へ相談してください。

骨密度の確認も、これからの体づくりを考える手がかりになります。
結論|更年期の関節痛は、痛む関節と困っている生活動作、体の変化を確かめることから。原因に合った対応を取り、骨と関節が無理なく動ける状態を整えて、生活の動きを保っていきましょう。
参考文献・研究情報
1. Watt FE. Musculoskeletal pain and menopause. Post Reprod Health. 2018;24(1):34–43. 総説。PubMed
2. Szoeke CE, Cicuttini FM, Guthrie JR, Dennerstein L. The relationship of reports of aches and joint pains to the menopausal transition: a longitudinal study. Climacteric. 2008;11(1):55–62. 縦断観察研究。PubMed
3. 日本整形外科学会. 「へバーデン結節」. 症状・病気をしらべる。公式資料
5. Chlebowski RT, et al. Estrogen alone and joint symptoms in the Women's Health Initiative randomized trial. Menopause. 2013;20(6):600–608. 無作為化試験の事後解析。PubMed
6. Overton R, et al. The effect of hormone replacement therapy on musculoskeletal pain in menopausal women: A systematic review and meta-analysis. Post Reprod Health. 2026;32(1):52–68. 系統的レビュー・メタ解析。PubMed
7. OpenStax. Anatomy and Physiology 2e. 8.2 Bones of the Upper Limb. 解剖学教材。公式教材
関連情報
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執筆者
黒坂 志穂(くろさか しほ)
広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。




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