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50代女性の骨密度の正常値は?YAMと今からの骨の対策

10月1日
読了時間: 8分

更新日:10月9日

50代女性の骨密度は、同年代平均と、若い成人の平均を基準にしたYAM%を分けて読み、骨折歴と合わせて受け止めます。


今からできることは、結果票で現在の状態を確かめ、食事を整え、骨と関節の動きを毎日の立つ・歩く動作へつなげることです。


「同年代では平均です」と言われたときも、「YAMが少し低い」と言われたときも、次に取る行動があります。数字の意味を知り、50代からの骨を自分の生活に結びつけていきましょう。


結果票は、どこから見ればよい?


結果票を手元に置き、次の4点を順に確かめましょう。数値の意味が分かると、受診時に聞きたいことも整理できます。


  • 測定方法と部位:腰椎・大腿骨近位部のDXAか、かかとの超音波検査(QUS)かを確認します。

  • 比較の相手:YAMは若い成人の平均、同年齢比は同年代の平均との比較です。

  • 数値と単位:「YAM78%」のように、項目名と数値を一緒に読みます。g/cm²などの実測値と、%の表示を区別しましょう。

  • 骨折歴:以前に骨折した部位と、そのときの転び方・衝撃の程度を、結果票と一緒に医師へ伝えます。


項目名が分からないときは、検査を受けた施設で「これは誰の平均との比較ですか」「追加の検査は必要ですか」と確認しましょう。[1][8]


同年代の平均とYAMは、何が違う?


YAMは若年成人平均値のことです。YAM80%は、若い成人の平均を100としたときの80%を意味します。


一方、同年齢との比較が100%なら、検査で使う同年代の基準集団の平均と同じ、という意味です。比べる相手が違うので、この2つの割合は一致しなくても不思議ではありません。[8]


たとえば結果票に「同年齢比100%、YAM78%」と書かれていた場合を考えます。 「同年代の平均と同じで、若い成人の平均の78%」という意味です。これは読み方を示す例で、50代女性の平均値を示したものではありません。

同年代平均は年齢の近い人との位置関係、YAMは診断を考える手掛かりです。50代の平均だけを目標にするより、骨折歴や閉経状況も合わせて、今の骨とこれからの対策を考えましょう。


骨年齢の表示や書籍中の同年代比較は、YAMとは別のものです。数字が何と比べられているかを確かめることが、結果を生かす出発点になります。[2]


YAM70%・80%なら、どう受け止める?


YAM70%以下は、骨粗鬆症の診断基準です。YAM70%と80%は、骨密度を読む大切な区切りです。


ここでいうYAM%は、診断に使うDXA検査の値です。測定部位は腰椎と、股関節に近い太ももの骨(大腿骨近位部)です。


日本の原発性骨粗鬆症の基準では、骨密度と脆弱性骨折の有無を組み合わせます。閉経状況や、骨密度が下がる別の病気・薬の影響も合わせて判断します。[1]


  • YAM70%以下:骨折歴がなくても、骨粗鬆症の診断基準に当てはまります。結果票を持って、治療が必要か相談しましょう。


  • YAM70%を超えて80%未満:若い成人の平均より低めの状態です。手首など指定された部位の脆弱性骨折がある場合は、骨粗鬆症の診断条件に関わります。骨折歴を確認し、食事や日々の動きも見直しましょう。


  • YAM80%以上:今の骨密度を確認し、食事と運動を続けて骨を支える段階です。背骨や、股関節に近い太ももの骨の脆弱性骨折も、診断の基準です。YAM%にかかわらず、骨折歴を医療機関で確認しましょう。


ここでいう脆弱性骨折は、立った高さからの転倒など軽い外力で起きた骨折です。背骨や大腿骨近位部の脆弱性骨折は、骨密度の割合だけに頼らず判断する条件です。以前の骨折、背が縮んだこと、続く背中や腰の痛みも、結果説明のときに伝えてください。[1]


診断に使う骨密度は、原則として腰椎や大腿骨近位部で測ります。結果票の部位名と、DXAなどの検査方法を確認しましょう。


g/cm²という実測値は、測る部位や装置で基準が変わるため、同じ数値を50代全員に当てはめることはできません。部位の詳しい読み方は、腰・股関節・かかとの骨密度の記事で紹介しています。[1]


腰椎L1〜L4、大腿骨頸部、total hipを区別して示した測定部位の模式図。
腰椎L1〜L4、大腿骨頸部、total hipの測定部位の模式図です。実際の解析領域は装置・条件で異なります。結果票の部位名を確認しましょう。

超音波検査(QUS)が測るのは、かかとの骨(踵骨)です。股関節付近のDXAとは、測定部位も方法も異なります。


QUSは骨密度そのものを直接測る検査ではありません。超音波の伝わり方などを調べ、骨の構造など骨質に関わる特徴も反映すると考えられています。


QUSに70%と表示されても、それだけでDXAの診断基準を当てはめません。結果が低めで詳しい確認が必要な場合は、医療機関で診断に使うDXA検査へつなげましょう。[1][6]


50代は、なぜ骨の対策を見直す時期なの?


50代は、閉経前後の変化と重なりやすい時期です。女性を追跡したSWAN研究では、閉経に近づいた後期の移行期と閉経後の初期に、腰と股関節の骨密度の減少が目立ちました。同じ50代でも、閉経の前後で骨の変化は異なります。[3]


骨は古い部分を壊し、新しい部分をつくる代謝を繰り返しています。閉経前後には女性ホルモンの変化を受けて骨量が減りやすくなるため、以前の結果が良好だった方も、今の状態を知ることが役立ちます。[7]


「年齢だから仕方がない」で終わらせず、検査を受けた今を、食事と身体の使い方を見直す機会にしましょう。閉経状況、低体重、骨に影響する持病や服用中の薬も、必要な診療と生活の対策を選ぶ材料です。


数値が気になる今、骨格をどう動かす?


骨密度は、骨に含まれるミネラルの量を知る大切な指標です。OSTEO®では、そこに身体を支え、関節を介して動きをつなぐ骨格の働きを重ねて考えます。食事で骨の材料を支えることと、骨格をどう使うかは、日常で一緒に取り組めることです。


OSTEO®の運動設計では、まず余分な力みを抜き、骨と関節の動きを確かめます。その感覚を、立つ・歩く動作へつなげる順序を大切にします。足の骨だけを切り離して見るのではなく、足から膝、骨盤、背骨へと身体の支え方をつなげていく実践です。


入口の一つが、交互のかかと上げです。体操でいう前足部(フォアフット)は、足指の付け根を含む、足の前側です。股関節に近い太ももの骨とは別の場所です。


OSTEO®では、前足部で支える働きを強化し、足・膝の連動でかかとを動かすことを大切に指導しています。図は、その動きの一場面です。[4]


支持物に手を添えた女性が、片側の膝を曲げてかかとを上げる。上げる足の前足部と、反対側のかかとは床に残っている。
足指の付け根で床を支え、片側の膝を曲げながらかかとを上げます。反対のかかとは床に残し、戻してから左右を交替します。

狙いは、前足部で身体を支える働きを強化し、かかとを持ち上げやすい足を目指すことです。前足部の支えから、かかと、足全体の骨・関節の動きへつなげ、骨のてこを引き出します。


足全体で身体を支え、歩くときに床を押せる足を目指します。動作と骨格の見方は、OSTEO®のかかと上げの記事で詳しく紹介しています。


OSTEO®では、こうした足部の動きを組み合わせたプログラム全体を研究してきました。大学生年代の女性が、週1回60分、4か月続けた研究があります。


その研究では、かかとの超音波指標SOS・BARが有意に上昇しました。対照群より高い値を示した指標もあり、歩行時の足裏の荷重バランスにも改善がみられました。詳しくは、20代女性の足部運動研究をご覧ください。


この成果は、足部運動プログラム全体を評価した結果です。かかと上げ単独や、足全体の骨密度の上昇を測った結果ではありません。


前足部の支えとかかとの動きをつなげることは、OSTEO®の指導上の狙いです。骨折歴や痛みがある方は、身体に合う動きを確認して取り入れましょう。


今日から、何を始めればよい?


まず、結果票のYAM%・同年代比較・測定部位・測定日を確認して保管しましょう。説明を受けるときは、「私の結果と骨折歴では治療が必要ですか」と尋ねましょう。


「次はいつ、どの部位を測りますか」と聞くと、次の行動が明確になります。検査の受け方や費用は、骨密度検査の記事へ。


食事では、カルシウム・ビタミンD・たんぱく質を、毎日の食事全体で不足なく取ることを考えます。乳製品や豆腐、小松菜などを取り入れ、魚や卵などの主菜も確かめましょう。


食事を極端に減らしていないかも見直し、まず今日の一食から不足を補う工夫をします。[5]


そして、骨と関節の動きを確かめる時間をつくり、その感覚を立つ・歩く動作へつなげます。詳しい食事と運動の考え方は、骨密度を上げるための対策の記事で紹介しています。必要な治療を受けながら、日々の習慣を重ねていきましょう。


結論|50代の骨密度は、同年代平均とYAMを分け、骨折歴と測定部位を合わせて読みます。 その結果を、必要な診療、骨の材料を支える食事、骨格から立つ・歩く動作を見直す実践へつなげましょう。

参考文献・本人教材



[2]勇崎賀雄『50歳からは「筋トレ」してはいけない 何歳でも動けるからだをつくる「骨呼吸エクササイズ」』講談社+α新書、2017年。骨年齢と測定部位、同年代比較の説明を参照。



[4]勇崎賀雄『「80歳の壁」を越えたければ足の親指を鍛えなさい』。足指の付け根を支えにした交互のかかと上げを参照。膝の連動と指の付け根で支える働きの強化という狙いは、OSTEO®の指導に基づく。






関連情報




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執筆者


黒坂 志穂(くろさか しほ)


広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。


骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。


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