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腰椎の骨密度を上げるには?運動・検査・注意点を解説

10月1日
読了時間: 7分

更新日:10月5日

腰椎の骨密度を上げるためには、骨に体重や運動の刺激が伝わる動きを、安全に続けることが基本です。


食事を整え、骨粗鬆症の治療が必要な場合は治療も続けます。運動によって腰椎の骨密度が改善する可能性はありますが、誰もが同じように上がるわけではありません。


OSTEO®では、足・股関節・骨盤・背骨・肋骨を意識し、骨格が動ける状態をつくることを大切にしています。まず体を支える骨の位置を感じ、骨盤や肋骨をゆっくり動かすところから、日常の「立つ・歩く」へつなげていきましょう。


腰椎は、骨盤の上に積み重なる5個の骨


腰椎は、背骨の腰の部分にある5個の骨です。上からL1、L2、L3、L4、L5と呼ばれ、その下には骨盤の中央にある仙骨が続きます。骨と骨の間には椎間板があり、横から見ると腰椎はゆるやかなカーブを描いています。


背骨を「骨の積み木」と考えると、腰椎も全体の中の一部分だとわかります。腰の周囲だけを意識するよりも、土台になる骨盤、その上の背骨と肋骨を一緒に感じることが、OSTEO®の実践の出発点です。


座っているときには、お尻の下の坐骨が体を支えています。その上に骨盤、背骨、肋骨、頭がのる様子をイメージすると、腰の骨の位置も感じやすくなります。足元から背骨までを一つの骨格として捉え、体の重みを受け止めながら動くための見方です。

腰椎L1からL5の5個の骨と、その下の仙骨を横から示す模式図。上端には隣接する胸椎の一部が描かれている
腰椎はL1〜L5の5個。その下の仙骨へと続きます。上端には隣接する胸椎の一部が見えます。骨の位置関係を示す模式図です。

まずは、座って骨格を感じるところから


ここで紹介するのは、骨盤・背骨・肋骨を感じて動かし、立つ・歩くなどの運動へつなげるための準備です。まず骨の位置と動く感覚を確かめ、自分に合う活動を続ける土台をつくります。


腰椎の圧迫骨折がある方、強い腰痛・背中の痛みがある方は、体操より先に医療機関で相談してください。


骨粗鬆症を指摘されている方も、自分に合う動きと負荷を確認してから始めます。痛みを我慢して、深く前かがみになったり、腰を強くひねったりしないでください。


1.お尻の下の骨を感じ、背骨を積み上げる


安定した椅子に座り、両足の裏を床につけます。お尻の下にある左右の骨、坐骨が座面に触れている場所を感じてみましょう。必要なら背もたれも使います。


痛みのない範囲で、骨盤を前後に小さく、ゆっくり転がすように動かします。腰だけを折り曲げるつもりで動かすより、座面に触れる坐骨の位置や、骨盤の傾きに意識を向けてみてください。


坐骨の上に体がのる位置で止まり、背骨を下から積み上げ、最後に頭をそっとのせるようにイメージします。


余分な力みを減らし、楽に体を支えられる位置を探します。胸や腰を無理に反らせず、骨盤の上で背骨と頭を支える感覚を大切にしてください。骨盤を動かしたとき、上の背骨も一緒に動くことを確かめてみましょう。


2.下の肋骨に手を添え、呼吸による広がりを感じる


図のように、両手を下の肋骨の左右に添えます。触れている骨の位置を確かめたら、楽に息を吸い、手のひらに触れる肋骨の下側が広がる感覚を感じてみましょう。息を吐いたら、再び自然に吸います。


OSTEO®の体操では、下の肋骨を息でふくらませることを大切にしています。手を添えると、胸の形を目で見るだけでなく、呼吸とともに骨が動く様子を自分の手で確かめられます。手の位置は、自分の肩の状態に合わせて無理なく届くところにします。


手はやさしく添え、息を自然に通しながら行います。骨盤の上に背骨があり、その上の肋骨が動くことを意識しましょう。息苦しさや痛みが出たら中止してください。

椅子に座った女性が、下の肋骨の左右に両手を添えている。茶色の髪を一本に結び、黒い服を着た正面図
下の肋骨に両手を添え、息を吸ったときの広がりを感じます。腰を強く反らせる必要はありません。

3.骨格への意識を、立つ・歩く動作へつなげる


座って骨の位置を感じたら、自分の体調に合う立ち上がりや歩行へつなげます。足の裏で床を受け止め、足・股関節・骨盤・背骨がつながっていることを意識しましょう。ふらつく方は、安定した支えや介助を使います。


立ち上がるときには、座面で支えていた体の重みを、足の裏で受け止める感覚へつなげます。歩くときにも、骨盤の上に背骨と頭がのる様子を意識してみましょう。


骨密度を上げるための運動は、負荷の強さ、回数、続ける期間も関係します。自分に合う運動を継続することが大切です。負荷を増やす際は、骨の状態や骨折歴に合わせて、医師や運動指導者と相談してください。


食事と必要な治療も、運動と一緒に整える


カルシウムやビタミンDなどが不足しない食事を心がけ、食べる量を極端に減らさないようにします。運動を増やしていても、骨を支える栄養が不足していれば、その点の見直しも必要です。


骨粗鬆症で薬を処方されている方は、体操を始めたからといって自己判断で薬をやめないでください。骨の状態、骨折の経験、年齢などを踏まえ、運動・栄養・治療を組み合わせて考えます。


OSTEO®の22名・約3か月の研究では


著者提供の投稿用研究原稿では、高齢女性22名を対象に、約3か月、週1回のOSTEO®実施群と対照群を比較し、大腿骨頸部と腰椎の骨密度をDXAで、かかとの音の伝わる速さ(SOS)を超音波で評価しました。


大腿骨頸部の骨密度と踵骨SOSには、対照群と比べて有意な改善が報告されています。腰椎の骨密度も平均値は増加しましたが、群間に有意な差は示されませんでした。


同じプログラムでも、評価した部位によって結果が異なった小規模・短期間の研究です。腰椎にどのような動きや負荷を、どのくらい続けるとよいかは、さらに検証を重ねていく課題です。


運動全体をまとめた研究では、腰椎はどうだった?


2023年のメタ解析では、閉経後女性5,581名を含む80研究がまとめられました。6か月以上の運動介入を対象とし、全体として、運動群の腰椎の骨密度は対照群よりよい変化を示しています(Mohebbiら、2023)。


このメタ解析は閉経後女性の運動研究をまとめたもので、対象者や実施期間、運動の種類・負荷はOSTEO®の22名研究と異なります。腰椎の結果には大きなばらつきもありました。


対象者・運動内容・期間・測定部位を合わせて読むことで、研究が示した範囲を理解できます。運動全体に期待できることと、一つのプログラムで確認した結果を、それぞれの条件に沿って見ていきましょう。


腰椎DXAは、数値だけでなく測定画像も確認する


運動を続けた結果を確かめるには、検査の読み方も大切です。腰椎のDXAでは通常L1〜L4を測定します。解剖学的な腰椎は5個ですが、一般的な腰椎DXAの評価範囲とは数が異なります。


構造の変化などで評価に適さない椎体は、除外して判定することがあります(ISCD、2023)。加齢に伴う骨棘や骨硬化、側弯などがあると、腰椎の骨密度が高く見える場合もあります。


測定画像、大腿骨の結果、骨折の経験を合わせて確認することが大切です。どの椎体を評価に使ったか、変形の影響があるかを、医療機関で一緒に確かめましょう。


経過を見るときは、できるだけ同じ施設・同じ装置・同じ測定部位で比較します。小さな数値の差が実際の変化なのか、測定のばらつきなのかも確認が必要です。次の検査までの間隔は、骨の状態や治療に合わせて相談してください。


今日からの一歩は、骨の位置を感じること


腰椎の骨密度を上げるためには、自分に合う運動を続け、食事・必要な治療・検査を組み合わせることが基本です。OSTEO®では、その運動へつなげるために、足元から骨盤・背骨・肋骨までを意識する実践を大切にしています。


痛みがなく、運動を制限されていない方は、まず椅子に座り、坐骨の上に骨盤と背骨がのる感覚を確かめ、下の肋骨に手を添えて楽に呼吸してみましょう。骨の位置を感じながら動くことを、無理のない「立つ・歩く」へつなげていきます。


関連情報



参考文献・研究情報


  • Effects of a Low-Load, Bone-Focused Exercise Program (OSTEO) on Bone Mineral Density and Quantitative Ultrasound Parameters in Older Women. 著者提供・投稿用研究原稿。

  • Mohebbi R, et al. Exercise training and bone mineral density in postmenopausal women: an updated systematic review and meta-analysis of intervention studies with emphasis on potential moderators. Osteoporos Int. 2023;34:1145–1178. 出版社本文

  • International Society for Clinical Densitometry. 2023 Official Adult Positions. 公式資料

  • ISCD DXA Atlas. Degenerative Changes. 公式解説

  • NIAMS. Exercise for Your Bone Health; Osteoporosis. 運動/骨粗鬆症


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執筆者


黒坂 志穂(くろさか しほ)


広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。

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