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骨盤底筋トレーニング|女性の正しいやり方と姿勢・呼吸

10月1日
読了時間: 6分

更新日:10月8日

骨盤の底を内側・上へ引き上げたら、十分に力を抜く。骨盤底筋トレーニングは、この収縮と弛緩を練習します。


息を止めず、お尻や内ももを強く固めないことが大切です。まずは、動かす場所と、その周りの骨格を確かめましょう。


骨盤底筋は、骨盤のどこにある?


骨盤底筋群は、恥骨・坐骨・尾骨などに囲まれた骨盤の底にあります。膀胱・子宮・直腸などを支える筋肉です。[1]


収縮すると、会陰部が内側・上へ持ち上がるように動きます。お尻全体を強く締める動きとは、分けて感じてみましょう。


腸骨・坐骨・恥骨・仙骨・尾骨を示した骨盤の模式図
骨盤底筋の周囲にある骨の模式図。矢印は骨盤全体の動きのイメージです。

成人の腸骨・坐骨・恥骨は、一体となって左右の寛骨をつくっています。それぞれの骨を別々に動かすわけではありません。


OSTEO®では、この骨盤全体と股関節・背骨のつながりに着目します。骨盤底だけを切り離さず、身体の使い方を考えます。


基本のやり方:引き上げて、ゆるめる


1.坐骨で支え、楽に呼吸する


安定した椅子に座り、両足を床につけます。お尻の下にある左右の坐骨へ、体重を均等にのせましょう。[1]


胸や腰を強く反らさず、楽に呼吸できる位置を探します。座位で力む場合は、仰向けなど無理のない姿勢を選びます。


2.骨盤の底を、内側・上へ引き上げる


尿道・膣・肛門の周囲を内側へ集め、上へ引き上げるイメージで収縮します。まずは、使う場所の感覚をつかみます。[2]


お尻を強く締めたり、膝を内側へ押したりしていませんか。息を止めず、肩やお腹の過剰な力みも確かめてください。


「尿を止めるように」は、動かす場所を想像するための表現です。実際の排尿中に、尿を止める練習をしないでください。[2]


3.収縮したあと、十分に力を抜く


収縮できたら、ゆっくり力を抜きます。締めたまま次を重ねず、ゆるむ感覚も一回ずつ確かめましょう。[1]


短く収縮してゆるめる練習と、呼吸を続けながら収縮を保つ練習があります。どちらも、次の収縮までに休みを入れます。


引き上げる感覚や、ゆるむ感覚が分からない場合は、強く繰り返す前に、骨盤底を扱う専門職へ相談してください。


OSTEO®では、骨盤と股関節も一緒に考える


骨盤は股関節を介して脚とつながり、その上に背骨が続きます。座る・立つ・歩く動作でも、周囲の骨格は連動します。


座っているときは、坐骨で支えながら背骨を無理なく起こせるか。骨盤まわりを固めすぎず、呼吸が続くかを確かめます。


立ち上がるときは、足で床を支え、股関節を使って身体を起こす。日常動作の中でも、骨盤周囲へ力みが集中しないかを見ます。


OSTEO®が大切にするのは、骨格を支えに、必要なときには筋肉が働き、不要なときには力を抜ける身体の使い方です。


ここで紹介する骨格の使い方は、OSTEO®の視点です。特定の動きだけで尿もれが治ると示されたものではありません。


症状の改善を目指すときは、骨盤底筋の収縮と弛緩を確認し、状態に合ったトレーニングを組み立てることが基本です。


尿もれへの効果は、研究でどう示されている?


2018年のCochraneレビューでは、腹圧性尿失禁の女性を対象にした3試験、242名の結果がまとめられました。[3]


治療終了時に「治癒または改善」を報告した割合は、骨盤底筋トレーニング群74%、無治療などの対照群11%でした。


尿失禁の種類を限定しない2試験、166名の解析でも、治癒または改善の割合は、トレーニング群67%、対照群29%でした。


これらは各試験の条件で得られた結果です。すべての方に同じ割合の改善が起こることや、OSTEO®の効果を示す数字ではありません。


腹圧性・混合性尿失禁では、専門職の指導を受ける骨盤底筋トレーニングが、最初の治療の選択肢として勧められています。[4]


呼吸だけで、トレーニングの代わりになる?


骨盤底は呼吸に伴って動きます。ただし、呼吸をするだけで、必要な骨盤底筋トレーニングを代用できるとはいえません。[5]


2023年の系統的レビューでは、息を吐くときの骨盤底筋活動は、自分で意識して収縮させるときより小さいと報告されました。


呼吸訓練を骨盤底筋トレーニングの代わりにしたり、追加して効果を高めたりする根拠は、乏しいとされています。[5]


一方、練習中に息を止めないことは大切です。下の図のように肋骨の下へ手を軽く添え、自然な呼吸が続くかを確かめましょう。


椅子に座り、肋骨の下に手を軽く添えて自然な呼吸を確かめる女性
肋骨の下に手を軽く添え、呼吸を確認する姿勢。骨盤底筋の収縮を示す図ではありません。

大きく吸い込もうとして、胸や腰を反らせる必要はありません。呼吸を続けながら、骨盤底の収縮と弛緩を確かめます。


回数や期間は、どう考えればいい?


保持する時間や回数は、収縮と弛緩ができるか、痛みがないか、何を改善したいかに合わせて調整します。[7]


疲れてお尻やお腹へ力が逃げ始めたら、回数を増やすより、動かし方と休息を見直しましょう。質を保つことが大切です。


NICEの指針では、腹圧性・混合性尿失禁に、少なくとも3か月の指導付きトレーニングを勧めています。[4]


これは効果を保証する期限ではありません。正しい動きを確認し、途中で経過を見ながら続ける治療の目安です。[7]


感覚がつかめたら、座位・立位・日常の動作にもつなげます。咳やくしゃみの前に収縮し、そのあとにゆるめる練習も行います。[1]


骨盤臓器脱や痛みがある場合


骨盤臓器脱に対する2022年のメタ解析でも、自覚症状や一部の重症度指標に改善が報告されました。[6]


一方、この解析では、長期的な効果や高齢女性での効果に不確実な点が残りました。状態に合わせて治療方法を相談します。


骨盤の痛み、性交痛、排尿しにくさ、膣から何かが下がるような違和感があるときは、自己流で強く締める練習を増やさないでください。


婦人科・泌尿器科や、骨盤底リハビリテーションを扱う専門職へ相談しましょう。練習で痛みが出る場合も、中止して相談します。


締める感覚と、ゆるむ感覚を一つずつ


まずは楽に呼吸できる姿勢で、骨盤の底を内側・上へ引き上げ、そのあとに力を抜く。この小さな動きから始めましょう。


骨盤・股関節・背骨の働きにも目を向けながら、必要な収縮と弛緩を確かめる。症状がある方は、適切な評価と練習を受けてください。


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参考文献・資料



Cambridge University Hospitals(CUH)公式患者資料。



CUH公式患者資料:女性の骨盤底筋トレーニングFAQ。



Dumoulin C ほか. Cochrane Database Syst Rev. 2018;10:CD005654. DOI: 10.1002/14651858.CD005654.pub4



NICE NG123:勧告1.3.4、1.4.4–1.4.7。



Bø K ほか. Neurourol Urodyn. 2023;42:1261–1279. DOI: 10.1002/nau.25218



Wang T ほか. Int Urogynecol J. 2022;33:1789–1801. DOI: 10.1007/s00192-022-05139-z



NICE NG210:勧告1.3.15–1.3.16、1.6.14、1.6.18。


動画で、骨格から動きを学ぶ


OSTEO®の動画では、骨・姿勢・動きの考え方を実践しながら学べます。ご自身の状態に合った範囲で取り入れてください。



執筆者


黒坂 志穂(くろさか しほ)


広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。

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