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更年期の尿もれはなぜ起こる?骨盤底筋の役割と対策・受診目安

10月1日
読了時間: 7分

更新日:10月9日

更年期の尿もれは、もれる場面によって対策が変わります。咳やくしゃみで起こるタイプには骨盤底筋の練習が、急な尿意で間に合わないタイプには膀胱訓練などが役立ちます。[4]


まずは「いつ、どのようにもれるか」を確かめ、婦人科や泌尿器科で相談しましょう。骨盤・股関節の動きも大切にしながら、自分の症状に合う対応を選んでいきます。


更年期の尿もれは、どんなときに起こる?


尿もれは医学的には「尿失禁」と呼ばれ、いくつかのタイプがあります。次の違いは、自分の困りごとを医療者に伝える手がかりになります。[1]


咳・くしゃみ・動作でもれる

咳やくしゃみ、笑ったとき、運動したときなど、お腹に圧がかかる場面で起こるのが「腹圧性尿失禁」です。尿意を感じる前に、少量もれて気づくこともあります。[1]


急に尿意が強くなり、間に合わない

突然の強い尿意に続いて、トイレに着くまでにもれてしまうのが「切迫性尿失禁」です。咳やくしゃみのときとは、困る場面が異なります。[1]


両方の場面で起こる

腹圧性と切迫性が両方みられるものを「混合性尿失禁」と呼びます。相談するときは、どちらが多いか、どちらが生活に響いているかも伝えましょう。[4]


こうした例だけで病名を決めることはできません。尿が出にくい、痛みがあるなど、別の症状が伴う場合も含めて確認します。


更年期だけで、尿もれの原因は決まらない


更年期・閉経に伴う変化は、尿の悩みに関わる要因の一つです。加齢、妊娠・出産、体重、便秘、感染症、服用している薬なども関係します。[2]


骨盤底筋群は、骨盤の底で膀胱・子宮・直腸などを支え、尿を保つ働きにも関わります。ただ、尿もれをすべて「骨盤底筋が弱いから」と考えると、必要な対応を見落とすことがあります。[7]


乾燥感や痛みがあれば、一緒に相談する

膣や外陰部の乾燥・刺激感、性交時の痛み、繰り返す尿路感染なども、更年期に伴う泌尿生殖器の症状として現れることがあります。尿の悩みと併せて婦人科などで伝えましょう。[3]


筋肉の練習以外の対応が必要なこともあります。「年齢のせい」と我慢せず、特に排尿時の痛みや血尿は、更年期だけの症状と決めつけないことが大切です。[2]


症状に合う対策:骨盤底筋の練習と膀胱訓練


腹圧性・混合性では、指導付きの練習を

英国NICEの指針では、腹圧性・混合性尿失禁の最初の治療として、少なくとも3か月の指導付き骨盤底筋トレーニングを勧めています。[4]


骨盤底に詳しい医療専門職が、収縮できているかを確認してから進めます。回数だけを増やすよりも、使う場所と動かし方を確かめることが出発点です。[4]


切迫性・混合性では、膀胱訓練も選択肢に

急な尿意でもれる場合には、少なくとも6週間の膀胱訓練が勧められています。排尿の記録をもとに、医療者と相談しながら排尿の間隔や尿意への対応を整える方法です。[4][9]


無理に長時間我慢するという意味ではありません。混合性では、どちらの症状が主に困っているかに応じて、対応を組み合わせます。[4]


3か月・6週間は、指針で示された取り組み期間です。その期間で必ず治るという意味でも、受診せずに待つ期間でもありません。骨盤底筋の練習では、途中で経過を確認し、必要に応じて内容を調整します。[5]


練習前に「締める・ゆるめる」を確かめる


骨盤底筋の練習では、収縮する力に加えて、力を抜けるかも確認します。NICEも、収縮・弛緩の状態、不快感、本人の目標に合わせて内容を調整することを勧めています。[5]


  • 息を止めず、肩・お尻・内ももを強く固めない

  • 収縮のあとに、十分に力を抜く時間をとる

  • 痛みや不快感があるときは、無理に繰り返さない


引き上がる感覚や、ゆるむ感覚が分からない場合は、自己流で強く続ける前に相談しましょう。具体的な姿勢と練習手順は、次の記事で説明しています。



何科で相談する?早めに受診したい症状


尿もれが続く、外出や運動を控えるほど気になる場合は、婦人科・泌尿器科などへ相談してください。頻度が少なくても、暮らしの中で困っていれば相談する理由になります。[2]


血尿・排尿時の痛みは、速やかに相談

血尿や排尿時の痛み、尿が出にくい症状があるときは、体操だけで様子を見ず医療機関へ。骨盤の痛み、膣から何かが下がる・出てくるような違和感も伝えましょう。[2][8]


尿が出ない・強い下腹部痛は、すぐに受診

急に尿が出なくなった、強い下腹部痛がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。骨盤底筋の練習を続けて待つ状況ではありません。[6]


相談前にメモしておくこと

  • いつから、どんな場面でもれるか

  • 頻度・量の目安と、強い尿意があるか

  • 排尿時の痛み・血尿・出にくさ、乾燥感など

  • 外出・睡眠・運動への影響、服用している薬


可能なら数日間、飲んだものの量や排尿した時刻、もれた場面を記録すると、相談の手がかりになります。記録を完成させるために、受診を遅らせる必要はありません。[4]


OSTEO®では、骨盤・股関節の動きにも着目する


OSTEO®では、骨盤底筋を強く締めることだけを目的にせず、周囲の骨盤・股関節・背骨がつながって動くことを重視します。まずは、骨盤の形と位置関係を見てみましょう。


腸骨・坐骨・恥骨・仙骨・尾骨と、骨盤底筋周辺の位置関係を示す模式図
図1.骨盤底筋周辺の骨格構造

骨盤を構成する主な骨には、腸骨・坐骨・恥骨・仙骨・尾骨があります。成人の腸骨・坐骨・恥骨は一体となって左右の寛骨をつくり、仙骨などとともに骨盤を形づくります。


図の動きは、骨盤全体の動きのイメージです。腸骨・坐骨・恥骨を一つずつ別々に動かしたり、骨を広げたりするという意味ではありません。


骨格を支えに、動きと力みを確かめる

OSTEO®の運動設計では、骨盤周囲を一方向に固めず、骨盤全体と股関節を前後・左右・回転の動きで連動させます。痛みのない範囲で、余分な力みを減らしながら動くことを目指します。


座るときは坐骨で支え、立つ・歩くときは股関節や背骨とのつながりを意識します。呼吸が続くか、必要以上にお腹やお尻を固めていないかも、身体の使い方を知る手がかりです。


これはOSTEO®が大切にする骨格と運動の見方です。尿もれへの治療効果は、ここで紹介した診療指針からOSTEO®へ置き換えて判断することはできません。


症状に合う治療や骨盤底筋の練習を受けながら、無理のない身体活動を続ける。そのために、骨盤や股関節の動きを知り、日常の座る・立つ・歩く動作へつなげていきます。



更年期女性と骨格を重ねたやわらかい骨の健康イラスト
更年期以降は、骨密度・筋力・歩行・姿勢を一緒に守る視点が重要です。

更年期には、尿の悩みのほか、骨の健康や関節の違和感、睡眠なども気になりやすくなります。その日の体調に合わせて運動を選ぶ考え方は、次の記事にまとめています。



まとめ


  • 尿もれは、起こる場面を確かめて相談する

  • 症状に合う練習と、収縮・弛緩の確認が大切

  • 血尿・痛み・尿が出ない症状は受診を優先

  • 骨盤・股関節も意識し、無理のない活動へつなぐ


参考文献・公的資料











資料確認:2026年10月9日。この記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の診断や治療は医療機関でご相談ください。


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OSTEO®の動画配信では、骨格や関節のつながりを意識した体操をご紹介しています。体調や医療者の指示に合わせて、無理のない動きから体験できます。


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執筆者


黒坂 志穂(くろさか しほ)


広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。


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