高齢者が座ってできる体操|骨を守るOSTEO®のやさしい運動
更新日:3 日前
「骨を強くするには、きつい筋力トレーニングが必要」と思っていませんか。
筋肉と骨は、運動に対してまったく同じように反応するわけではありません。
OSTEO®では、高齢者が安全に運動できることを大切にしながら、骨にどのような刺激を、どのように与えるかという視点から運動を組み立てています。
そのため、現在のOSTEO®では椅子に座って行う運動を中心に、足部・膝・股関節・骨盤・背骨などをさまざまな方向へ動かし、最後に必要に応じて立位運動へつなげています。
なぜOSTEO®では椅子から始めるの?
骨を強くするためには、必ずしも息が上がるような激しい運動や、大きな全身運動が必要なわけではありません。
骨は、筋肉や呼吸循環系とは異なり、機械的な刺激を感知して適応する組織です。単純に「負荷は大きければ大きいほどよい」というものではなく、適切な強さの刺激を、どの骨に、どの方向から加えるかが重要です。
そのためOSTEO®では、まず椅子に座った状態で運動を行います。
座位にすることで全身を大きく動かす必要がなくなり、足部、足関節、膝周囲、股関節、骨盤、背骨と、身体をパーツごとに丁寧に動かすことができます。

OSTEO®が重視しているのは、「たくさん動けば骨が強くなる」という考え方ではありません。
一つひとつの骨や関節を狙い、普段とは少し異なる方向へ動かしながら、骨に必要な刺激を加えていくこと。
そのためには、全身運動の中で一気に動かすよりも、椅子に座って余分な動きを減らし、狙った部位を一つずつ動かす方が適している場合があります。
つまりOSTEO®のイス体操は、運動を「弱くする」ためのものではありません。
骨と筋肉では「強くなるための刺激」が違う
筋力トレーニングでは、ある程度大きな負荷を筋肉へ加え、それを繰り返すことが筋力や筋肥大につながります。
しかし、骨の適応はそれだけでは説明できません。
骨は機械的な刺激を感知して、その環境に適応する組織です。刺激の大きさだけでなく、速さ、回数、方向、刺激の間隔なども骨の反応に関係すると考えられています。PubMed
つまり、「筋肉に効く運動=そのまま骨にも最適な運動」ではありません。
これが、OSTEO®の運動を考えるうえで重要な出発点です。

骨には、普段と少し違う刺激を入れる
骨は日常生活でも常に力を受けています。
歩く、立つ、階段を上る。それだけでも骨には機械的刺激が加わっています。
一方で、骨の適応を考える際には、普段経験している刺激と同じことをただ繰り返すだけではなく、機械的環境を変えることが重要になります。
古くから提唱されているmechanostatの考え方では、骨は機械的負荷の程度に応じて構造を適応させると考えられています。PubMed
ただし、「この強さを超えれば必ず骨密度が上がる」という単純な境界が人で確定しているわけではありません。
OSTEO®ではこの考え方を踏まえ、高齢者でも無理なく行える範囲で、普段とは少し異なる方向や動きを取り入れることを重視しています。
同じ動きを何百回もすればよいわけではない
骨にはもう一つ重要な特徴があります。
同じ機械的刺激を連続して受け続けると、骨細胞の刺激に対する反応は次第に低下します。
動物を用いた研究では、機械的負荷を一度に大量に行うより、負荷を短いまとまりに分け、その間に休息を入れることで骨形成反応が高まることが報告されています。PubMed
そのため骨の運動では、「とにかく回数を増やす」という考え方だけでは不十分です。
刺激を変えること、休むこと、別の方向から動かすこと。
こうした要素も骨への機械的刺激を考えるうえで重要です。

だからOSTEO®は、全身の骨をターゲットに
OSTEO®の椅子運動では、一つの運動を延々と繰り返すのではなく、
足部 → 足関節 → 膝 → 股関節 → 骨盤 → 背骨
というように、身体のさまざまな部位を動かしていきます。
前後だけではなく、左右、回旋などの動きも取り入れます。
これは単に運動の種類を増やすためではありません。
身体を一方向に固めず、異なる部位・異なる方向から機械的刺激を加えると骨が強化できるメカニズムをOSTEO®では重視しているためです。
同時に、関節の動きを保ち、日常生活で「立つ・歩く」といった全身運動につなげていきます。
骨が運動刺激に反応する仕組み
「なぜ軽い運動でも骨に意味があるの?」という方には、骨リモデリングと骨細胞の仕組みを別記事で詳しく解説しています。
▶ 骨に有効な体操はこちら。
OSTEO®の動画配信では、骨・姿勢・動きの考え方を実践しながら学べます。
執筆者
黒坂 志穂(くろさか しほ)
広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。





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