高齢者が座ってできる体操|足の骨・関節から始めるOSTEO®
更新日:10月11日
高齢者が座ってできる体操の一つが、片足ずつのかかと上げです。安定した椅子に座り、痛みのない範囲で、足の支えと関節の動きを確かめます。
OSTEO®では、足部から動かし、立つ・歩くときの骨格の働きにつなげることを目指します。回数をそろえるより、支える場所と動かす場所を感じ取ることを大切にします。
始める前に、椅子と今日の体調を確かめる
背もたれがあり、ぐらつかず、キャスターのない椅子を使います。両足が床につく高さを選び、座面の端に寄りすぎず、身体を安定させましょう。
足元の物を片づけ、滑りにくい環境を整えます。座って身体を保つことに不安がある方は、一人で始めず、支援する人と座り方から確認してください。
強い足腰の痛み、発熱、めまい、少し動いただけで息切れがする日は、無理に体操を始めません。骨折後や手術後、治療中の骨・関節の問題がある方は、行える動きと負荷を担当の医療者に確認します。[1]
足のどこが床に触れている?
足は一つのかたまりではありません。かかとの骨、その前に並ぶ骨、指の付け根から先の骨が関節でつながり、床を受けたり、押したりしています。
両足を床に置き、かかと、親指の付け根、小指の付け根の接地を感じてみましょう。足指を強く握り込まず、左右でどこに重さがかかっているかを確かめます。

OSTEO®では、この足の支えを、膝・股関節・骨盤へ続く動きの入口として考えます。「足に力を入れる」だけでなく、骨と関節がどう動いているかに目を向けるのが特徴です。
座って行う、片足ずつのかかと上げ
ここでは、足の前側を支点にしてかかとが動く感覚を確かめます。椅子に座り、両足を床につけた状態から始めてください。
かかとを上げるときは、足首が底屈し、指の付け根の関節が反ります。かかとの骨が床から離れる一方、前足部は床に残る。その位置の変化を確かめましょう。

片方の足は、かかとを床につけたまま支えにします。
反対側は、指の付け根を床に残し、前足部で床を押しながらかかとを上げます。痛みのない範囲で、無理なく上げられる高さまで動かしましょう。
反動を使わず、ゆっくりかかとを戻します。いったん両足の接地を確かめ、反対側も同じように行います。
両方のかかとを同時に上げないことが、OSTEO®で示す基本形です。動く側の前足部と、支える側のかかとを区別すると、どこを動かしているかが分かりやすくなります。
肩やあごまで力が入っていないか、息を止めていないかも確認します。かかとの高さを競わず、その日の動きに合わせて休みながら行いましょう。
なぜOSTEO®では椅子から始めるの?
椅子に座ると、全身のバランスを取りながら動く負担を減らし、足部・膝・股関節など、見たい部位へ注意を向けやすくなります。OSTEO®では、余分な力みを減らし、骨・関節を一つずつ動かすために座位を活用しています。
足だけで終わらず、骨盤・背骨・肋骨なども含め、身体のつながりを考えます。骨格がどこで支え、どこが動くかを知り、日常の立ち上がりや歩行へつなぐことが運動設計の狙いです。
立つことに不安がある方へ、急に立位の体操を求める必要はありません。座ってできる範囲から始め、次の動きは状態に合わせて選ぶことを大切にします。[1]
骨への刺激は、回数だけでは決まらない
骨は、日々受ける力に応じてつくりを変えていく組織です。骨にどのような力が加わるかを考えることは、運動を設計するうえで重要です。[2]
ニワトリの骨に一定の負荷を加えた研究では、負荷回数を増やしても、骨の変化が増え続けるわけではありませんでした。回数だけで骨への刺激を考えないための手がかりになります。(Rubin・Lanyon, 1984)[2]
ただし、この動物実験から、高齢者の椅子体操の最適な回数は決められません。この記事のかかと上げによる骨密度の変化や骨折予防を調べた研究でもありません。
OSTEO®では、骨・関節の動きと支えを確かめながら、部位や動かし方を変えていきます。回数をこなすことよりも、どこを支え、どこを動かすかを大切にしています。
自宅や介護施設で続けるときの確認点
毎回同じ回数を目指す前に、「今日は足が床につくか」「動かすと痛くないか」「終わったあとに強い疲れが残らないか」を確かめます。翌日の生活に支障が出るほど疲れる場合は休み、次回の量を減らしましょう。[1]
運動中に胸の痛み、めまい・ふらつき、動悸、関節や筋肉の強い痛みが出たら中止します。いつもと違う体調の変化を我慢せず、必要に応じて医療機関へ相談してください。[1]
介護施設では、始める前に参加者の状態と見守る人、中止したときの連絡先を共有します。動画に合わせることを優先せず、途中で休む、動きを小さくするなど、その人に合う参加の仕方を選びます。
よくある質問
毎日、何回すればよいですか?
一律の回数より、痛み・疲れ・動きやすさを見ながら量を調整します。座位でも負荷の感じ方は人によって異なるため、最初から長時間続けたり、回数を急に増やしたりしないようにしましょう。[1]
椅子体操だけで骨粗鬆症の対策になりますか?
身体を動かす入口として活用できますが、骨の状態を調べることや、必要な治療の代わりにはしません。検査結果や骨折歴を踏まえ、自分に合う運動を医療者と相談しながら組み合わせます。
立つ体操へ進まないといけませんか?
立位が難しい方も、可能な範囲で身体を動かすことが勧められています。無理に立つことを目標にせず、座った姿勢でできることを確認してください。[1]
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▶ 介護施設で椅子体操を取り入れたい方へ。
OSTEO®では、骨・関節・姿勢に着目した、施設向けの動画プログラムをご案内しています。利用者の状態に合う内容や、施設での使い方を検討したい方は、導入案内をご覧ください。
参考文献
[1]厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』。推奨事項の概要、身体活動・運動を安全に行うためのポイント。https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
[2]Rubin CT, Lanyon LE. Regulation of bone formation by applied dynamic loads. J Bone Joint Surg Am. 1984;66(3):397–402. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6699056/
執筆者
黒坂 志穂(くろさか しほ)
広島大学 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。





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