骨粗鬆症の筋トレはどう始める?骨格から考える運動と注意点
更新日:10月8日
骨粗鬆症の筋トレは、どの骨で身体を支え、どの関節を動かすかを確かめてから、自分に合う負荷を選ぶところから始めましょう。
椅子から立つ、左右交互にかかとを上げるといった動きも、骨格のつながりを確かめる入口になります。
OSTEO®では、余分な力みを減らし、骨・関節の動きを立つ・歩く動作へつなげることを大切にします。
骨格で身体を支える感覚を確かめながら、日常の動きへ生かしていきましょう。
運動を始める前に、確認しておきたいこと
骨粗鬆症と診断されている方、骨折後の方、背中や腰の痛みがある方は、始める前に主治医へ相談してください。
骨密度の結果、骨折歴、痛みやふらつきを伝え、行える運動と負荷、支えの必要性を確認します。[1]
特に背骨の骨折がある方や骨折リスクが高い方は、背中を大きく丸める動き、勢いのあるひねり、強い衝撃を伴う運動を避けます。
医師や理学療法士と、身体の状態に合う姿勢や動かし方を決めましょう。[1、2]
検診で骨量の低下を指摘された方も、医療機関で詳しい評価を受けることが大切です。
検査方法や結果票の読み方は、骨密度検査の方法と結果の見方で解説しています。
運動中に痛み、めまい、息切れなどが出たら中止し、症状に応じて受診してください。
治療中の薬は、運動を始めたことを理由に自己判断でやめず、必要な治療と日々の実践を並行して続けます。[1]
骨格から運動を考えると、何が見えてくる?
骨粗鬆症の運動では、骨の強さを保つことと、転倒しにくく生活できることを一緒に考えます。
体重が骨にかかる活動や筋力を使う運動、バランスや姿勢を保つ練習を、身体の状態に合わせて組み合わせます。[1、2]
そのとき、私がOSTEO®で大切にしているのが、骨格の支えと関節の動きを確かめることです。
足が床に接し、膝や股関節が動き、骨盤と背骨が身体を支える。
このつながりに目を向けると、いつもの立ち上がりにも確かめたい点が見えてきます。
脱力では、身体を支える働きを保ちながら、必要以上の力みを減らします。
動かしたい骨・関節へ注意を向け、動きがつかめてから、体力と骨の状態に合う負荷を選んでいきます。
椅子から立つ:足・膝・股関節のつながりを確かめる
椅子からの立ち上がりは、日常の中で繰り返す動作です。
OSTEO®では、足裏の支えから、膝・股関節、骨盤・背骨へと動きをつなぐ機会として捉えます。
まず、座るところから立ち上がり、再び座るまでを一続きで見てみましょう。

1.座った状態で、足裏の支えを確かめる
安定した椅子を使い、両足の裏を床につけます。
かかとだけ、つま先だけに意識を集めず、指の付け根を含む足全体で床に接している感覚を確かめます。
必要な方は、手すりなどの安定した支えを使ってください。
2.膝と股関節が動くところを見る
足裏で床を支えながら立ち上がります。膝と股関節が伸びていく動きと、骨盤・背骨が身体を支えるつながりを意識しましょう。
勢いだけで立とうとせず、呼吸を止めたり、肩を強く固めたりしていないかも確かめます。
3.座る動きまで、ゆっくりつなげる
立てたところで終わりにせず、膝と股関節を曲げて座る動きにも注意を向けます。
腰を椅子へ急に落とさず、足の支えを感じながら戻ります。立つときと座るときの、どちらに難しさがあるかも覚えておきましょう。
一度動いたら、「足裏で支えられたか」「膝と股関節が動いたか」「勢いに頼っていなかったか」を確かめます。
回数を増やす前に、動き方を知るための確認です。座って始める体操は、椅子を使った骨粗鬆症の体操も参考にしてください。
交互のかかと上げ:指の付け根で支え、骨のてこを引き出す
OSTEO®のかかと上げでは、指の付け根で支える働きと、足・膝の連動を大切にします。
指の付け根側を支えに、足の骨格をてこの腕として使い、かかとを持ち上げやすい足を目指す体操です。

安定した机や手すりに手を添え、両足の裏を床につけて立ちます。
親指の付け根、小指の付け根、かかとが床に接しているところを、まず確かめましょう。
右側を動かすときは、右の指の付け根を床に残し、右の膝を曲げる動きとかかとの上下をつなぎます。
左のかかとは床に残したままです。右のかかとを戻したら、今度は左側を動かします。
このように、ステップを踏むような流れで左右を交替します。
上げる足の指の付け根で支えられているか、膝の動きとかかとの上下がつながっているかを確かめてください。
かかとの高さを追って力まず、床へ強く打ちつけずに戻します。
左右で動かしやすさが違う場合も、高さを無理にそろえようとせず、それぞれの足の支えと動きを見ていきましょう。
この体操の狙いは、指の付け根の支えを育て、かかとを持ち上げやすくし、立つ・歩くための骨のてこを引き出すことです。
詳しい足の構造と動きは、骨のてこを使う交互のかかと上げで紹介しています。
負荷や回数は、何を見ながら増やす?
動作を身につけたうえで、負荷を段階的に調整することが大切です。
運動の種類、骨の状態、体力、これまでの運動経験によって、適した負荷や休息は変わります。[1、2]
OSTEO®の実践では、回数とともに、支え方と動きの変化を記録すると振り返りやすくなります。
椅子から立つときは手の支えを使ったか、かかと上げでは左右の動かしやすさがどう違ったかなど、気づいたことを短く残してみましょう。
たとえば、「立つときは落ち着いてできたが、座るときは急になった」「右の指の付け根で支える感覚がつかみにくかった」と記録します。
次にどこを確かめるかが明確になり、指導を受けるときにも具体的に伝えられます。
その日の動きやすさに加え、痛みや疲れが残っていないかも振り返ります。
難しい動きや強い負荷を急に加えるより、今の動作を確認しながら、決めた運動の進め方に沿って続けましょう。
研究では、どの指標に変化があった?
関連するBONEプログラムの研究では、大学生年代の女性40人を運動群20人と対照群20人に無作為に分けました。
運動群は週1回60分、4か月のプログラムを行い、かかとの超音波指標などを評価しました。[3]
結果表では、運動群のSOS(超音波の伝わる速さ)とBAR(bone area ratio)は、同じ運動群の開始前と比べて有意に上昇しました。
さらに、4か月後のSOSは対照群より有意に高い値でした。BARについては、ここでは運動群の前後の変化として読みます。[3]
これはプログラム全体を評価した結果です。この記事で紹介した交互のかかと上げ単独の効果を示すものではありません。
腰椎・大腿骨のDXA骨密度や、骨折の減少を示すものでもありません。
詳しい測定方法と結果は、20代女性を対象にした足部運動研究で解説しています。
よくある質問
骨粗鬆症でもスクワットをしてよいですか?
取り入れられる場合がありますが、骨折歴や動作の状態に合わせて方法を調整します。
前半の「運動を始める前に、確認しておきたいこと」を踏まえ、行える範囲が決まってから始めてください。[1、2]
毎日、何回すればよいですか?
一律の回数ではなく、運動の種類と負荷に合う頻度・休息を決めます。
本文で紹介した支え方や動きの記録も使い、今の自分に合う量を確かめながら続けましょう。[1、2]
運動を始めたら、薬はやめられますか?
運動を始めたことだけを理由に、薬を自己判断でやめないでください。
薬の変更や終了は、治療の経過を踏まえて主治医が判断します。
今日の動作を、骨格から一つ確かめる
今日から始めるなら、まず椅子から立つときの足の支えや、交互のかかと上げで指の付け根が床に残る感覚を、一つ確かめてみましょう。
骨格の動きを知り、その動きを日常で使い、自分に合う負荷へつなげることを重ねていきます。
運動全体の組み合わせは、骨粗鬆症予防の運動と始め方へ。
食事と検査も含めた対策は、骨密度を上げるための食事・運動・検査でつなげて解説しています。
参考文献
[1]日本骨粗鬆症学会 OLS PRIME Guide「骨粗鬆症患者における運動療法の実際と管理」。木村孝、2026年2月27日。
[2]Brooke-Wavell K, et al. Strong, steady and straight:
Br J Sports Med. 2022;56:837–846. doi:10.1136/bjsports-2021-104634.
[3]Kurosaka S, et al. Effect of the “Building Osteo Neatly Exercise” program
J Phys Ther Sci. 2019;31:717–723. doi:10.1589/jpts.31.717. 結果本文・表2(720頁)。
関連情報
OSTEO®の動画配信では、骨・姿勢・動きの考え方を、動画を見ながら実践できます。
執筆者
黒坂 志穂(くろさか しほ)
広島大学大学院人間社会科学研究科 准教授/株式会社OSTEO 代表取締役。
骨に着目した運動プログラムOSTEO®の開発と効果検証に取り組んでいます。



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